不動産登記法 雛形1-所有権保存登記(法74条1項1号前段_単独)(お試し版) |
次の登記記録、事実関係をもとに、下記の申請情報を完成させよ。
表題部 所有者 A
権利部 存在しない
登記の目的 | 所有権保存 |
登記原因及びその日付 | なし |
所有者 | A |
添付情報 | 住所証明情報 代理権限証明情報 |
令和4年4月1日法第74条第1項第1号申請 | |
代理人 | (住所省略)司法書士 S 印 |
課税価格 | 金1,000万円 |
登録免許税額 |
金4万円 |
不動産の表示 | (省略) |
甲建物の登記記録より、表題部所有者のみが登記されており、未だ権利に関する登記がなされていないことがわかります(不登規第158条)。
権利に関する登記について、最初に申請するのは「所有権保存登記」です。
そこで、Aが甲建物を担保に融資を受けるためには、まずAを所有者とする所有権保存登記を申請しなければなりません。
不動産登記法第74条は所有権保存登記の申請適格者を下記のとおり定めています。
不動産登記法第74条第1項の所有権保存登記の申請適格者
①表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人(不登法第74条第1項第1号)
②所有権を有することが確定判決によって確認された者(不登法第74条第1項第2号)
③収用によって所有権を取得した者(不登法第74条第1項第3号)
本問では、Aは表題部所有者ですから、自己名義に所有権の保存登記をすることができます。表示に関する登記は表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報を提供して行うものですので、表題部に所有者として記録されたものが所有者であることに間違いないと考えられるため、表題部所有者が申請適格者となっています。
登記の目的には、物権変動の内容を記載します。
本設例では、権利に関する最初の登記をすることになりますので、「所有権保存」と記載します。
権利に関する登記を申請する場合、通常は申請情報の内容として「登記原因及びその日付」を記載します(不登令第3条第6号本文)。
しかし、所有権保存登記の場合は、最初にする権利に関する登記ですので、原則として登記原因と呼べるものがなく、「登記原因及びその日付」の記載は不要となります(不登令第3条第6号かっこ書参照)。
権利に関する登記を申請する場合、通常は権利者と義務者の共同で申請をしなければなりません(共同申請主義、不登法第60条)。
しかし、所有権保存登記の場合は、原則として義務者となるべき者がいませんので、単独申請となります。したがって、「所有者」として、登記名義人となる表題部所有者の住所、氏名を記載します。
添付書類 |
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自然人の場合 |
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法人の場合 |
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補足 |
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法人の住所は本店なので、本店が分かる情報として、会社法人等番号を記載するか、法人の登記事項証明書を提供します。この登記事項証明書は、「住所証明情報」のみならず、「代表者の資格を証する情報」も兼ねることになります。 法人が申請人の場合、法人の代表者が申請をすることになるのですが、その代表者が真の代表者であることを証明するために「代表者の資格を証する情報」の提供が要求されています(不登令第7条第1項第1号かっこ書、不登法規則第36条第1項第1号・第2号)。もっとも、会社法人等番号を記載することで、「代表者の資格を証する情報」の提供は省略できます。 会社法人等番号を記載しない場合、法人の登記事項証明書を提供することになるのですが、先に述べた通り、法人の登記事項証明書は「住所証明情報」と「代表者の資格を証する情報」を兼ねるので、1通提供すれば足ります。 なお、「代表者の資格を証する情報」としての登記事項証明書については、作成後3ヵ月以内のものが要求されていますが(不登法規則第36条第2項)、「住所証明情報」としての登記事項証明書については、作成後3ヵ月以内のものが要求されていません(不登法規則第36条第4項、不登令第9条)。そのため、1通しか提供しないのであれば、3ヵ月以内のものを提供する必要があります。 |
登記の申請手続の代理を司法書士へ依頼した場合には、申請人から司法書士への委任状を提供します。
所有権保存の登記は、不登法第74条各項各号によってそれぞれ添付書類が異なりますので、申請情報の内容として適用法令を記載する必要があります。
なお、本設例では、表題部所有者からの所有権保存登記なので、正確には法第74条第1項第1号前段が根拠となりますが、適用法令の記載としましては、「前段」までは記載する必要はなく、「法第74条第1項第1号」までを記載します。
登記の申請手続の代理を司法書士へ依頼した場合には、代理人の住所、氏名、連絡先等を記載します。
なお、司法書士試験では、代理人の記載を求められることはありませんので、以後、省略します。
不動産の課税標準の額を記載します。通常は問題文に記載されています。
実務では、都税事務所や市役所の税務課で取得できる固定資産評価証明書等に記載されている評価額を記載することになります。
所有権保存登記の登録免許税率は、1000分の4です(登税別表第1.1(1))。
「課税価格×1000分の4=登録免許税」となりますので、本設例では、金4万円が登録免許税となります。